ブリッジがむずかしいときの方法 残っている歯の状態で決まる。インレーやクラウン、そしてブリッジの作業プロセスとおなじ方法で、局部床義歯の診査から設計までのプロセスをみてみよう。局部床義歯には、一歯、あるいは数歯というものから、多い場合には一、二歯を残してあとはほとんど総義歯とかおなじような状態になっているものにいたるまで、さまざまなケースがある。だから、局部床義歯を長もちさせるためには、一歯欠如の場合は両側の歯でささえるとか、複数の歯が欠損している場合は残っている歯と抜けた歯の土台の顎の粘膜の双方でささえるとか、欠損が多く、残っている歯が一〜二歯という場合は顎の粘膜だけでささえるとかいったように、その状態に応じて設計にあたらなくてはとうていよい義歯はできないことになる。局部床義歯をつくるための診査は、前述したクラウンの診査とほぼおなじで、問診、触診、視診、打診をおこない、レントゲン撮影、歯の動揺度の測定など、あらゆる方向から診査し検討していくのである。とくに局部床義歯の製作にあたっては、残っている歯がどういう状態であるかということがひじょうに大きなウェイトを占めるから、歯石の沈着その他についての診査とともに、歯が抜けている部分の顎(顎堤)がどんな状態であるかも精密に診査する必要がある。つまり、?歯を抜いたあとの傷のなおりぐあいはどうか、?そこをさわったときに痛みを感じるかどうか、?顎のかたちはどうか(土手が高いのか低いのか、幅はあるかないか)、?骨の突出したところがあるかどうか、?上顎の場合は深さが深いのか浅いのか、?硬いところとやわらかいところの分布はどうか(粘膜の圧縮状態)といった点を綿密に調べるわけである。もちろん、抜けたところと対応している反対側の顎の状態と双方の関係や、あるいはとくに前歯が抜けている患者については、その顔のかたちと歯のかたちがどうであるかということも調べなければならない。また、舌が大きすぎると義歯をいれるのに困るから、その大きさも調べなくてはならないし、唾液の量や周囲の筋肉の緊張度、顎と周囲の粘膜との境界かどうなっているかも診査の対象になる。これまでにいくつも歯を抜いたという患者の場合には、いままでの口腔の衛生状態はどうだったかという診査も必要である。ひどく不潔にしているような人の場合には、そのままではいくらよい義歯をつくっていれても長もちはしないからである。そういう診査をおこなったあとで、?ものをかむときに義歯が粘膜に沈んでしまわないかどうか、?あるいは粘着性のあるものを、かんだときに義歯がいっしょにはずれてしまわないかどうか、?かみあわせた状態の位置から顎を連動させたとき、船がローリングするような横揺れはしないか、前や後にずれたりきしんだりということはないか、といったような、およそ考えられるかぎりの顎のあらゆる動きを考えながら、義歯の「設計」にとりかかるわけである。もし、顎の運動によって、沈んだり横揺れしたり前後にずれたりということがあれば、たんに局部床義歯をつくるだけでなくて、残っている歯にいろいろな特殊装置、ハリガネや金属の鋳造などでバネのようなものをつくってひっかけるクラスプという装置をつけなくてはならないからである。