T君の場合は、高校中退後の六ヶ月間に両親があまりがみがみといわなかったことが幸いした。どうしてよいのか分からなかったにせよ、本人を見守るということで、親の思いやりがT君に伝わっていたのではないだろうか。そして、母親が「何かしたら」といった時に、その場では反発したものの、それがきっかけとなってT君は動き出しだのかもしれない。アルバイトを始めた頃から生活のリズムが朝方に戻った。アルバイト先の本屋さんでは、仕事を通してアルバイト仲間や店長が自分のことを認めて受け入れてくれたこと、アルバイト代を得て自分が自由に使えるお金ができたことが、よい影響をもたらしたようだ。自分の行為や成果を誰かに認めてもらうことは、しばしば自信回復のきっかけとなる。大学進学という目標もそれによってはっきりと見定めることができたのだ。一旦決心しても、実際に動き出すまでには時間がかかることが多いが、タイミングよく両親や周囲の人が手をさしのべてきっかけ作りをすることも大切である。T君の場合は両親が大検の受験をすすめたことがよいきっかけとなった。