英語力は落ちているのか?

2011.07.29

英語を使う機会が増えれば、実力も高まるはずである。英語が世界語になり、「できないのが当たり前」だった英語が「できて当たり前」になった結果、英語で本を読む層が飛躍的に拡大していく方向にある。もっとも、この動きが一直線に進むかどうかはわからない。英語が世界語になっていった時期に、まったく別の動きがあって、日本人の英語力が低下しているのではないかと懸念されているからである。最近、大学生の学力が落ちてきたと嘆く意見をよく耳にするようになった。分数の計算すらできず、TOETICの成績をみると、日本は世界でも最低に近い水準に落ち込んでいるという。翻訳学習者の英語力をみると、たしかに学力が落ちているように思える。たとえば、五文型程度の文法知識すらない人が、「得意の英語力を活かせる仕事がしたい」と翻訳を学習している。なぜ、こうなったのだろうか。ひとつには、この二十年ほどで、公教育が完全に空洞化してしまったためなのだろう。学校は教育の責任を放棄している。何も教えず、何も学ばせない。公教育が教育を放棄した穴は、学習塾をはじめとする民間企業が埋めており、事実上、教育の民営化か進んでいる。だが、穴を埋めきって、学力を高めるまでにはなっていないようだ。たとえば学習塾は、入試や資格試験などのためのものだ。「ゆとり」という表看板のもと、入試の質が低下していけば、学習塾の教育の質も低下していくしかない。民間の教育産業の活力によって、若者の英語力が高まるまでになるのかどうかはわからない。