私は男性はなぜ結婚するのかというテーマで話をしたとき、男性優位主義者だと女性から非難されたことが何度かある。私が根拠のない一般通念をいっそう広めようとしているというのだ。つまり、結婚したがるのは女性のほうだとか、結婚は男性が女性を支配し利用するためにつくった制度だとか、結婚は男性よりも女性に有利だどうか、結婚は意義ある関係をつくる最善の方法だという通念である。だが、彼女たちの考えは当たっていない。男性も女性と同じように結婚を望んでいると思うなら、ちょっと周りを見回して、男性が何人くらい聞きにきているか見てみるといい、と私は言った。男性は結婚というテーマにほとんど関心がないことは明らかだった。結婚は女性を支配するための制度だという考えも、すでに10世紀に根拠のない通説だとみなされていた。ロンドンの旅行案内書に載っていることだが、ある修道士が結婚に関する古文書を書写したとき、余白に、結婚は2人で一頭の馬にのるようなものだと書き記していたのだ。普通は男性が前に座って手綱をとり、速度と方向を決めているように見えるが、そうではないことが多かった。初めから男性をうしろにのせる強い女性もいた。夫が前に座って手綱をとり、すべてを決定するのを認める強い女性もいた。しかし、進んで夫にしたがうか弱い女性でさえ、重要な岐路に立ったときにはうしろから指図し、最終目的地を見定めていた。結婚という形態が一見男性主義でありながら、実は女性に支配されているということは、千年も前から広く知られた事実だったのである。実際、結婚によって女性や子どもは法的に守られる。とりわけ破綻したときにはそうだ。女性に財産の半分をもらう権利がある州もある。男性が妻と子どもを扶養する責任を負う州もある。内縁の妻の場合、そういう主張をすることはきわめて難しい。彼女たちは、肉親ではないという理由で、パートナーの死を看取ることすらできなかった。長年会うこともなかった妻や子どもに閉め出された女性もいた。妻や子どもに自分たちが築いてきた家財を取り上げられた女性もいた。結婚の意義としてもう一つの重要なものは、関係の永続性である。2人の関係が長持ちする可能性が高いということだ。確かに、結婚の半分は離婚にいたっているが、結婚しないままの男女関係が一生続く可能性は5パーセントに満たない。また、両親がそろった家庭の子どもは、そうでない子どもより成績がよいという事実もある。もしあなたが夫と子どものいる昔ながらの結婚生活を望むなら、その夢を壊す権利は誰にもない。結婚はロマンチックなだけではない、きわめて現実にそった有用な制度なのだから。
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